みなみらんぼう 公式サイト
みなみらんぼう オフィシャルサイト
みなみらんぼう みんなの広場
みなみらんぼう 公式サイトのTOPへ
プロフィール
これまでに出版された書籍
これまでに販売されたCD
お問い合わせ先
ともだちの輪リンク
サイトマップ
みなみらんぼう 一歩二歩散歩 みなみらんぼう スローライフ
みなみらんぼう 青春の道標
みなみらんぼうのスローライフ
2003年〜2005年まで日経新聞夕刊に大好評
連載された“みなみらんぼうのスローライフ”が
帰ってきました。
ある人はなつかしく、又ある人は新鮮な共感を持って
らんぼうワールドをお楽しみください。
歯医者通いをしている。
どうやら義歯を作らねばならないらしい。
昨年、胆のう手術を言い渡されたときは驚きが先に立ったが、「みなみさん、義歯を作りましょうか」と、散歩でも誘われる
みたいに軽く言われたときは、脱力感を止められなっかた。
 うらやましい人がいるとすれば、ニコっと笑ったとき歯が真っ白で、歯並びの美しい人である。
僕の子供のころは歯磨き粉は袋に入っていた。
確か薄いブルーだった。
洗面台のそばに石けんなどと一緒に置いてあり、家族みんなが、歯ブラシに付けて磨いた。
濡(ぬ)れた歯ブラシでやるものだから、使っているうちに固まりになってしまう。
何とも非衛生的だった。
 当時は“磨く”という言葉通り、歯はゴシゴシと歯ブラシを横に引いて磨くものだった。
それがいつの間にか西洋式になり、ブラシを上下させて磨くのが正しいと言われた。
歯磨き粉もいつの間にかチューブ入りのペースト状のものになったが、いまだに僕らの年代のものは“歯磨き粉”と呼んでいる。
昭和が染みついていて取れないのだ。
「今はね、もっと細かく、歯ブラシを持ちかえながら、しっかり磨くんですよ」と先生は能弁になる。
若い女性看護師さんに代わってホッとしたら、きっちり1時間、新歯磨きの特訓を受けさせられた。
 僕がかつてNHK「みんなのうた」に発表した歌に「虫歯の子供の誕生日」というのがある。
誕生日のケーキが楽しみなのに、口を開けたら虫歯だらけで、僕はもうダメだという歌で、自分の体験に基づいたものだ。
そのリアリティーが通じるのか、この歌を聞いたあとの子供は「お母さん、歯ブラシちょうだい」と、よく歯を磨くようになった、
という話だった。
 一生の間に二回も三回も、歯の磨き方を変え、さらに今、電動歯磨き機のレクチャーを受けている僕は、なんだか実験台に
されているようでもあるが「歯無しになっては話になりませんからね」というブラックユーモアを、必死に耐えながら笑う寛容を見せ、
脱力感に負けまいと必死に戦っている近ごろである。
スローライフの目次へ > 26.幻のジュウネモチ