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みなみらんぼう 青春の道標
青春の道標
日本経済新聞に連載されたものです。
 ある日一人の女性から電話があった。
彼女は「先日名古屋のコンサートを見た」と切り出した。
初アルバムの「武蔵野詩人みなみらんぼう」を聴き、また僕が良く”武蔵野の仲間達”について話すのを聞いて、武蔵野って
どんな所だろうとあこがれて大阪から上京して来たのだという。
 そこで帰りしなに思い切って僕に電話を入れた。
「いないと思ったんやけど、いはってお話できて満足です。それじゃ」
 彼女は電話を切ろうとした。
普通なら僕もハイそうですかと受話器を置くところだが、どこかで虫が騒ぎ「今どこですか?」ときいた。
「三鷹駅の北口」。すぐそばだった。
 せっかく大阪から来たのだから、食事でもと頭を巡らせ、仲間のKさんがアルバイトをしている駅前の店に誘った。
Kさんは「あら、らんぼうさん彼女できたの?、隅に置けないわね」と冷やかしたが、喜んでスポークスマンぶりを発揮し、
裏話などをサービスした。
 時間はあっという間に過ぎ、帰阪の時間が来た。
Kさんが気をきかせてクロークから赤いコートを出し「ほら、らんぼうさん着せてあげて」とせかした。
 言われるままに僕は彼女の背中にコートを回してやり、彼女も素直にコートを着て外へ出た。
駅で別れしな彼女はコートを脱ぎ「ありがとう」と言って僕にコートを渡そうとする。
僕は意味が分からず「どうするのこのコート?」ときいた。
「Kさん親切に貸してくれたコートよ」
 そこで僕の頭に電気が灯った。
そうだ、もともと彼女はコートを着ていなかった。
店にとって返してきくと、何とそれは食事中の客のコートだった。
 僕も彼女もKさんも、平常心を保っていたように見えて、相当緊張していたのが分かる。
縁は異なもの味なものである。
翌年、難攻不落に見えた彼女の両親祖父母を三度にわたって攻め、ようやく陥落させ、僕らは二年後に結婚した。
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